ただノアと、彼といっしょに箱舟にいたものたちだけが残った。(創世記7:23)
この地上に悪が増大し、暴虐で満ちている様をご覧になった神様は、人を地の面から消し去ろうとなさる。しかし、主の心にかなっていたノアを助けるために、神に箱舟を作るように命じられた。ノアは、ひたすら箱舟を作り続ける。その間、人々は洪水が起こるというノアの話には耳を傾けることをせず、あざ笑い、たかをくくる。しかし、いよいよその時はやってきた。ノアと家族が動物と箱舟に入ったとき、「主は、かれのうしろの戸を閉ざされた」(16)。神がその救いの扉を閉ざす時が来る。神がその主権を握っておられる。「主の日が夜中の盗人のように来る」(Ⅰテサロニケ5:2)のであるから、私たちはいつも「心を整え身を慎み」(Ⅰペテロ4:7)、備えていなければならない。
「水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた」(19)。人間はたとえどんなに立派なことを成し遂げても、神の義、という水準に達することはできない。すべては、さばきの中に飲み込まれてしまう。それに対し、ノアが神のことばに従って造った箱舟は、「水かさが増していき、箱舟を押し上げたので、それは、地から浮かび上がった」(17)。神の前に自分を低くした者を神は救ったのだ。
いのちをつないでいくために、ノアとその家族は箱舟に入った。私たちも、この神のいのちを伝えていく、つむいでいくために、神の家族となっている。神は、創世記の1章で人間に最初に語られたことばを、この後、再びノアに語る。「生めよ。増えよ。地に満ちよ 」(創世記9:1)と。私たちが、この神の家族を増やしていき、この地を満たしていくことを、神様は願っていらっしゃる。